自然災害等と建築基準の変遷

  • 建築基準法は、大正9(1920)年から施行された市街地建築物法を前身として、昭和 25(1950)年に施行されました。
  • 建築基準法は、その後、災害等の発生や技術開発の進展などに対応して、改正が重ねられてきました。
  • 主な自然災害等と、建築基準等の改正の経過について、以下の表に示します。
年代自然災害等被害状況等建築基準 等
1891年
(明治24年)
濃尾地震・根尾谷を通る80㎞に及ぶ大断層
・内陸型地震で、震源付近の断層は上下に6mのずれ
・家屋の倒壊
・地震後に火災発生
1920年
(大正9年)
市街地建築物法 施行
1923年
(大正12年)
関東地震・家屋の倒壊
・地震後に火災発生
・関東沿岸に津波襲来
1924年
(大正13年)
市街地建築物法の改正
・許容応力度設計、設計水平震度0.1以上の導入
1948年
(昭和23年)
福井地震・戦争空襲からの復興途上で家屋の倒壊多数
・地震後に火災発生
1950年
(昭和25年)
建築基準法の制定(市街地建築物法の廃止)
・許容応力度設計、設計水平震度0.2以上
1959年
(昭和34年)
建築基準法 改正
・木造建築物の必要壁量等の基準の強化
・補強コンクリートブロック造の規定の新設
1964年
(昭和39年)
新潟地震・竣工直後の昭和大橋の崩壊
・RC造県営住宅の倒壊(砂地盤の液状化現象)
・石油タンクの火災発生(スロッシング現象)
・日本海沿岸に津波襲来
1968年
(昭和43年)
十勝沖地震・家屋の倒壊
・RC造建築物の被害が目立つ
・津波襲来(干潮時で被害軽減)
1971年
(昭和46年)
建築基準法 改正
・RC造柱の帯筋規定の強化
・木造建築物の風圧力に対する必要壁量等の基準の新設
・基礎の基準の強化
1978年
(昭和53年)
宮城県沖地震・ブロック塀倒壊
・ガラス片等の落下物による負傷
・ライフライン寸断など都市型地震被害
・斜面造成宅地の地盤崩壊 など
1981年
(昭和56年)
建築基準法 改正【新耐震基準の導入】
・大規模な地震動に対する検証を行う2次設計の導入
 (構造規定、許容応力度設計、層間変形角、偏心率・剛性率、保有水平耐力など)
・木造建築物の必要壁量等の基準を強化
・SRC造建築物の規定の新設
1995年
(平成7年)
兵庫県南部地震
【阪神・淡路大震災】
・多くの木造家屋の崩壊
・RC造建築物の1階の崩壊
・SRC造建築物の中間層の崩壊
・S造建築物の溶接不良部の破断
・S造建築物のALC版外壁の落下
耐震改修促進法 制定
2000年
(平成12年)
建築基準法 改正
・性能規定化、限界耐力計算の導入
2003年
(平成15年)
十勝沖地震・長周期地震動による石油タンクの被害
2004年
(平成16年)
新潟県中越地震・長周期地震動によるエレベーターの被害
2005年
(平成17年)
【構造計算書偽装問題】・一級建築士による構造計算書の偽装により、
 耐震基準を満足しない建築物が問題となる
2007年
(平成19年)
建築基準法 改正【確認・検査の厳格化】
・構造計算適合性判定の導入
・構造計算の基準の明確化
2011年
(平成23年)
東北地方太平洋沖地震・巨大津波の襲来
・RC造建築物の非構造壁の被害
・イベントホール等の天井落下
2013年
(平成25年)
建築基準法 改正
・エレベーター・天井等の落下防止
2014年
(平成26年)
関東甲信越地方の大雪
降雪後の降雨
・大スパンかつ緩傾斜の屋根を有する建築物等の屋根等の崩壊
2016年
(平成28年)
熊本地震・震度7の地震が同一地域で連続して発生
・地震による大規模な土砂崩れで阿蘇大橋が崩落
・旧耐震基準などの古い木造家屋に被害が集中
2018年
(平成30年)
台風21号・近畿・東海・北陸を中心に記録的な暴風
・関西国際空港ターミナルビルの、高潮による浸水
・関西国際空港連絡橋への、タンカーの衝突
・家屋の屋根・外壁等に、損傷被害多数
2019年1月
(平成31年)
建築基準法 改正
・特定緩勾配屋根の積雪荷重の割増し
2019年9月
(令和元年)
房総半島台風・建築物の屋根の被害
・ゴルフ練習場の鉄柱の倒壊
2022年
(令和4年)
建築基準法 改正
・瓦の緊結方法に関する基準の強化
・風圧力を算定する基準(地表面粗度区分)の合理化