低降伏点鋼とは

  • 建築構造用低降伏点鋼材は、制振デバイス(履歴型制振ダンパーなど)の需要に供するために開発された鋼材で、高炉メーカー各社が建築基準法第37条の規定に基づく大臣認定を取得して、一般に使用されています。

​​特徴

  • 低降伏点鋼は、添加元素を極力低減した純鉄に近いものであり、従来の軟鋼に比べ強度が低く、延性が極めて高い鋼材です。
  • 低降伏点鋼と他の鋼材について、応力-ひずみ関係を比較すると、低降伏点鋼は概ね下図な曲線(ラウンドハウス型)となっています。
  • 従来の軟鋼に比べて強度が低く、延性が極めて高い鋼材で、制振ダンパーなどとして組み込むことにより、地震時の建物の揺れが抑えられ、柱や梁などの主要構造部の損傷を未然に防ぐことができます。​

​低降伏点鋼を使用した制振デバイス

  • 低降伏点鋼を使用した制振デバイスは、大きくは以下に示すようなタイプに分類できます。​
    1. 低降伏点鋼板壁
    2. 低降伏点鋼間柱
    3. 座屈補剛ブレース
    4. K型偏心ブレース
  • このように、柱や梁などの主架構に用いるのではなく、鋼板壁やブレースなど、地震入力エネルギーを吸収する部位を特定し、制振デバイスとして部材の一部または端部に局所的に使用される例がほとんどで、必要な場合には取り外して交換できる配置やディテールとなっています。
  • 低降伏点鋼を使用した制振ダンパーを用いた工法は、地震発生直後も機能が維持でき、短期間での復旧が可能であるため、各種ある制振ダンパーの中でも、比較的ローコストでメンテナンス性の高い工法と言えます。